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あうう

よくわかんないけど
改行が出来ないと言うか反映されないんだけど ?
(・ω・三・ω・)なんで?

だぶるしくれっと
去年の8月から持ち越してた。
おかしいなあ……すぐに書ける軽いネタのはずだったのになあ゚('ω'o)゚。



(,,i _ i,,) 改行なおった。
次は死神仕上げつつ、えと、がんばる

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ダブルシークレット12

どうせなら、ちゃんと「サヨナラ」と言って欲しかった。
だったら、今みたいに泣かずにすんだかもしれないし、お別れだって言えただろう。
けれど、きっと猫耳には、そんな価値すらないのだろうか。
後ろ向きな事ばかりを考えて、自虐に浸っていても仕方ないが、ちっぽけなキラには、きっとそんな権利すら与えてもらえないのだろう。
だから何も教えて貰えず、要らないと言われれば他所にやられるしかない。
一方的に、それを受け入れられるほど、まだキラは強くなれない。
アスランに拾って貰ってからずっと幸せ過ぎていたから、聞きわけがなくなってしまったのかもしれない。
以前は、何も望む事などなく、望む事すら知らなかった。
でもザラ家に来てから、溢れるほどたくさん、色んなものを与えて貰っていた。
でも同時にそれは、ザラ家にとってリスクの大きいことだと知っている。
それでも敢えて置いて貰えたことは、感謝してはいるのだが、助けて貰ったのに酷いことをされているような、恩知らずな事を考えてしまう。
――イイコになるから、キラのこと仲間ハズレにしないで。
きっと、ヒドイ顔をしていると思ったが、幸い背後のアスランから顔を見られることはない。
背中に触れるアスランの胸。
触れている場所は温かいのに、居心地が悪くて苦しくなる。
アスランは優しいけど、キラの権利など認めてくれない人。
何も知らない猫耳のキラを馬鹿にして、きっと見くびっているのだ。
嫌いになってしまいたいのに、どうしてこんなに離れたくないのだろう?
――困らせたくないし、笑っていて欲しいのに、ダメだなあ。
考える事に疲れ果てて、キラは何も考えない事にした。
その方が、イイコでいられる。
アスランを安心させられる。
「キラのマスターのおうちの灯りは、どのへんなの?」
話を逸らしたくて元気な声で訊いたとき、背後のアスランの吐息がキラの頭にかかった。
「残念だけど、ラクスの家はここからは見えないんだ」
「え?」
キラは大きな目を瞠った。
意味が分からなかったのだ。
「彼女の家はアプリリウス市にあるから、別ブロックになるんだよ」
そう言いながら、エレカのナビモニタに地図を出して説明をしてくれた。
プラントのコロニーの成り立ちすら、キラは知らなかったし、知ろうとしなかった。
知っているのは、ザラ家の敷地内の、それも一部だろう。
それで事足りていたから、プラントについて調べることなど、思い付きもしなかった。
今になってみると、残念でならない。
もっと為になることを、覚えておけばよかった。
これから連れて行かれるところは、思った以上に遠いのだと初めて知った。
「そういえば、地球の地理は教えた事があるけど、プラントは教えてなかったね」
耳元に響くアスランの声に悪意がないだけ、キラは悲しい。
「ううん……どうせキラ、すぐに飽きて寝ちゃうし」
「そんなことないだろ。ずいぶん熱心だとアデスから聞いている。その事も考えの足りなかった俺のせいだ」
アレックスと入れ替わることはあるが、基本的に不在の多いアスランとキラの接触は、あまり多くはない。
そのうえ一緒にいるときの話題は、マスターについての話――結局はザラ家から出て行くべきだという話になってしまうことが多かった。
マスターであるラクス・クラインが、どんなに大事に育ててくれていたのか、だとか。今も心配して心を痛めているとか――確かに大切なことではあるのだろうが、キラはどうしていいか分からなくなってしまう。
アスランは正しくて、教えてくれる事は、すべて本当だと言う事も知っていた。
キラの身体の心配もしてくれるし、気にかけてくれる。
けれど、キラは皆と一緒にいたいのに、やんわりとマスターの元へもどるよう説得を続けているのだと思うと、胸が塞ぐのだ。
アスランはマスターの味方であって、キラの味方ではない。
それは、仕方のないことだ。
「地図は自分で読み出せるからヘイキ。本当に、今まで興味がなかっただけだから、きっともっとプラントにも詳しくなるよ」
「じゃあ、何か教材があるといいけど」
アスランはモニタの画面を切り替えた。
すると、しっとりした音楽が流れて、モニタの中でピンク色の髪の少女がゆっくりと顔をあげ――そして歌い始めたところだった。
光と花と、そして青空にはラクス・クラインという装飾文字の字幕。
白いドレスの少女が祈りを捧げるように歌う姿は、絵本の中の女神さまのよう。
とても懐かしい声を聴いた気がした。
――このひと……ラクスって……。
固まったキラが唇を開く間もなかった。
アスランはタッチパネルを突くようにして、画面をニュースに切り替えた。
きっと全くの無意識だったのだろう。
アスラン自身も自分がしたことに驚いたようで、画面で手が固まったままだった。
「……悪い」
戸惑い、呆然とした声。
顔が見えなくとも、キラの狭い視界からでも、アスランが焦っているのが分かる。
ラクス・クラインという名前は、マスターの名前だと教えて貰っていた。
モニタ画面は一瞬だけでハッキリしないはずなのに、それがマスターだと気付いたのは、歌声を聴いたからなのだろうか?
吃驚してしまったのが悪いことのような気がして、取り繕いたかったが、振り向いてアスランを見上げる事すら出来そうにない。
やけに明るい声で読みあげられる気象プログラムが、返って気まずい。
まだ戸惑うようなアスランの指先がパネルの上を動いたとき、思わずキラはその白い手をギュッと握りしめて止めてしまっていた。
アスランの指先が驚いていた。
無意識だったので、キラはもっと驚いていた。
アスランの手が、やけに冷たかった。
「あ、あの……」
慌てていたせいで、何が言いたいのかキラ自身にも分かっていなかった。
――何か言わなくちゃ、何か。
何か言わなければ困らせる。
すでに気象プログラムの読み上げは終わり、ディセンベル市にオープンした植物園の特集番組に移っていた。
「この植物園、ここ見たいから、あの……だから、このままにして欲しい」
緊張のあまり、窒息してしまいそうだった。
けれど、キラの背後から困ったような溜息が漏れた。
そういえば、屋敷の外に出るなと厳命されていたのを思い出して、キラは余計に焦った。
「あ、あの、あのね。ここに行きたいわけじゃなくて、今だけ、モニタで見るだけでいいから」
「――そうじゃなくて……」
抱きしめる腕がギュッと強くなり、身体で包みこむようにアスランに抱きしめられていた。
そして耳元でゴメンと囁くような声がして、キラは震えた。
――どうしよう。
アスランが、もう一度、あのピンクの女神さまを出してくれようとしたのだと分かっていたのに、遮ったのはキラだ。
けれど、キラは見たくなかったのだ。
自分のマスターを知れば知るほど、アスランやみんなが遠くなる気がして、心もとなくてたまらなくなるから。
今までラクス・クラインの元へ戻るように説得されてはいたが、画像一枚、見せて貰ったことなどなかった。
こんなにアスランが慌てなかったら、彼女がマスターだとは気付けなかったかもしれない、いや、気付かない振りだって出来ただろう。
実際、一瞬だったせいか、もう髪がピンク色だっただけで、顔も忘れてしまった。
今からマスターの元へ送り届けられるのだとしても、少しの時間でも考えたくはないと思ってしまった、それだけだ。
「……ダメだな、俺は。本当に自分が嫌になる」
アスランの声と当時に抱きしめられた腕が緩んで、思わずキラは振り向いてしまった。
パーキングエリアのオレンジの光に縁取られたアスランは、目を伏せて額を押さえていた。
疲労が深いのは一目瞭然で、考えてみれば、アスランは長期任務から戻ったばかりで、いつもなら部屋にこもっているはずだった。
それなのに、キラを送り届けてくれようとしているのだ。
「あの……ワガママ言ってごめんなさい」
「キラは悪くないだろ」
「だって……さいごなのに」
最後と言う言葉が、辛くて声が潰れる。
「最後って……」
何故だか意味が分かっていないアスランを、キラは残酷だと思った。
皆でマスターの元へ返すのだと決めたのではないのだろうか。
「だって、キラ、捨てるられるんでしょ……」
「捨てるって……どうして?」
長く息を吐いたアスランが額を押さえたまま頭を垂れた。
ふわりとした髪が白い頬にかかって、ぎゅっと寄せられた眉根に苦悩が滲んでいた。
こんなに苦しめていたのだと、キラは思った。
「だって。キラがいたら迷惑なの、分かってるから、だから」
「誰が迷惑って言ったの?」
目の前の怖い人に指をさしたかったが、怖くて無理だった。
確かにアスランは迷惑だとは言っていないし、誰も言ってはいない。
「でも、だって」
顔をあげたアスランの静かな双眸で見つめられて、キラは、くしゃりと顔を歪めた。
端正な容貌は変わらないが、明らかにアスランが怒っていたからだ。
先ほど泣いたので、もう泣かないと決めたのに、やはり無理だった。
嫌われると思うと、胸が潰れてしまう。
「だって、キラのせいで、みんなケンカになっちゃうのはいや」
「……皆って、昼間のこと?」
泣いて答えられないキラの様子を肯定と捉えたアスランは、再び頭を抱えた。
「俺の部屋での話を聴いて……キラは今、自分がラクスの元へ戻されようとしているんだと思っているっていうこと?」
疑う余地もない気がして怖々とコックリ頷くと、アスランはシートに沈んだ。
ひどいダメージを受けたボクサーのようだった。
「確かに俺が悪い。悪いんだけど……なんで俺ばかりこんな役回りなんだよ……」
ブツブツ言いながら眉間に深い皺を刻んでいて、キラは自分が言いすぎたのだと思いこんだ。
「あ、あの、アスランは何も悪くなくて、たぶん、マスターの元へ戻ったほうが、みんなのためにいいって分かってるから、だからキラは」
上手く言えない。
だが、幸せだったのだからお礼を言いたいと、キラは心から思った。
ちゃんと『拾ってくれてありがとう』と伝えたかったが、今、何でもない振りは難しすぎた。
――なるべくイイコにしたかったのに、だめすぎる。
どうしようもなく、空気が重く圧し掛かる。
しばらく黙りこんでいたが、またひとつ、腹立たしげに大きな溜息をついたアスランは、まっすぐにキラを見下ろしていた。
「俺はただ、キラに夜景を見せたくて――それだけだ」
「……え?」
ドライバーズシートのアスランの膝の上で、思わずキラは身を引いていた。
その小さな背中に、宝石のような夜景が広がっている。
「夜景って、ビューポイントっていうのと同じ?」
ポカンとしたまま、キラはアスランを見上げた。
それを引き寄せられてギュッと抱きしめられたとき、吃驚して涙が引っ込んだ。
夜景だとか見せるだとか、連結しない単語が踊っている。
一体、何がどうなったのだか、まだ理解出来なかった。
だが、抱きしめられた腕が強くて、ずっとこの中にいたいと願った。
けれど、それは口に出してはいけないことだ。
「急だったからアレックスみたいに気のきいた誕生日プレゼントも用意出来ないし、シンみたいなことも出来そうになくて、だからせめてこんな事しか思い付けなかんたんだけど、まさか捨てるとかって……どうしてそうなる」
咎めるようにさらにギュッと力を込めて抱きしめられて、キラは慌てた。
正しい答えが分からない。
「だってキラは、マスターがデータで、みんなが困るから、返そうってみんなで決定したんじゃないの?」
意味を理解していないキラは、思いきり支離滅裂だったが、それはさらにアスランを落ち込ませていた。
実際のところ、何が問題でシンが怒っていたのか、キラには全くわかっていなかったのだ。
――そもそも、誕生日って……。
キラには訳が分からない。
ようやく説明の必要性について気付いたアスランは、難しい病名を告げる医者のようにキラを見つめて口を開いた。
「俺たちも知らなかったんだけど、5月18日がキラの誕生日――つまり生まれた日で、本来ならば皆でお祝いする日だったんだ。昼間は三人でそのことの確認をしていただけだ」
確認だという雰囲気ではなかったような気がしたが、キラにとって重要なことは、それではなかった。
「えと、じゃあ、捨てなくていいの?」
「だから、なんでそんなこと思うの?」
明らかに機嫌が悪くて、キラは怯んでしまう。
無用に怯えさせてしまい、はあと溜息をついたアスランは、頭痛を堪えるような困った顔で、先ほどシンが手渡したバスケットを後ろから取り出して助手席に乗せた。
クリームの甘い香りが、ふわりと漂ったが、今のキラにはどうでもよかった。
「意味、分かっているかな? 一般的に、誕生日にはケーキを食べてお祝いをする。キラの具合が悪くなければ、近くの別宅でそうしようと思って、これは用意させたものだ。それでも信じられない?」
「そ、そうなんだ」
ケーキはマスターへの手土産だと思っていたキラは、やっと自分の思い違いに気付いて、身体の力が抜けた。
「よかったぁ……」
ぐったりして笑うその様子から、キラの思い違いを正確に推察したアスランは天を仰いだ。
「信用がないのも無理はないけど、これほどとは」
「……ごめんなさい」
「いや、普段俺がラクスの元へ戻るように言っていたのは事実だから仕方ないのだけど――でも……今日はもう……ま、いいか」
キラにとって、誕生日よりもザラ家から出ることのほうが重大なことだというのを目の当たりにして、アスランは良心の呵責に苛まれながらも、唇が緩むのをとめられない。
「とりあえず誕生日プレゼントに希望するものがあったら用意するから」
「誕生日とかよりも、キラはずっとこのままがいい」
「そうじゃなくて、ちゃんと誕生日の意味分かってる?」
「ケーキが、お祝いをする?」
「いや、あのね」
少し慌てているアスランが面白くて、キラは笑ってしまう。
まるで本当に「ずっとこのままでいいよ」と、言って貰っているような気がしたのだ。
意味を理解しそうにないキラが、べったりと抱きつくと、アスランが、急にクスクスと笑い出した。
――アスランが笑ってる。
キラは自分が夢をみているのだと思った。
実際、安心したせいか急速に襲ってきた眠気に抗えなくなくなっていたのだ。
子猫の規則的な寝息は、強力な睡眠薬より効果的で、すでにかなりの疲労が蓄積していたアスランは、ひとたまりもなかった。
一瞬、気が緩んだのがいけない。
「あったかいな、キラは」
眠そうなアスランの声が遠くなり、それが寝息に変わるまでは、それからほんの数秒だった。
 
おしまい

とりあえずあぷ

あ、このあと不機嫌なシンがバイクで回収にきて、フロントガラスコンコンってされても
ねむりこけてるアスランとキラなのでした。

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(つд⊂)うああ

もう、明日は18日なのですね。
それまでにって思っていたのに、早いよう><

最近、眠くて眠くて仕方ないです。
頭痛がするくらい眠い。

春だから?って思っていたけど、もう夏なのですよね。

明日が終わるまでにあぷできるようにするよてい。

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ダブルシークレット11

大きなハイウェイに出るまで、窓の外は何も見えなかったが、キラは暗闇の中で必死に目を凝らした。
そうしていなければ、嗚咽を漏らしてしまいそうだったからだ。
窓に額を押し付けて、飛び散る黒い影を見送った。
全部、初めて見る、知らない景色だった。
闇夜を漆黒のエレカが疾走する。
滑るように進むエレカと一緒に、前へ前へと運命は進んでしまうのが肌身にしみた。
遥か前方で、闇に浮かぶ点のように見えたオレンジ色の光が、みるみる大きくなって行く。
光に包まれたロボットのようなゲートからハイウェイに入ると、あたりは一面、静かなオレンジの光に包まれていた。
そこからは景色が一変した。
元から滑らかであったが、エレカのスピードがさらに加速して、エレカに翼が生えたよう。
以前、シンの話してくれたジェットコースターは、こんな感じなのだろうかとキラは思った。
眠る前までは、まだ昼間だった。
ただ幸せな気持ちでヒヤシンスを抱えて歩いていた。
そんな、ほんの数時間前が、ひどく遠い。
屋敷にいるアレックスにも、お礼もお別れも言えなかったが、忙しい彼には、その方がよかったのかもしれない。
本当は、シンですら淋しさの欠片もない、晴れやかな顔で見送ってくれたことがショックだった。
運転席のアスランは黙りこんだままで、キラはブランケットの隙間から、その横顔を伺う余裕もなかった。
たまらなく不安で孤独で、消えてしまいたい。
アスランから話しかけられないことが悲しくもあり、有り難くもあった。
バスケットを抱えた手が、固まってしまったように感覚がない。
どのくらい走っただろうか。
もうキラは泣き疲れて眠くなってしまい、もう窓の外も見ていなかったから、景色が止まっていることにすら、気付けなかった。
「キラ?」
アスランの小さな声がしたが、話しかけられても半分夢の中のようだったのだ。
囁くアスランの声が静かすぎたせいもある。
エレカが、あんまり滑らかな走りだったので、いつ停止したのかも気付く事ができなかった。
涙で視界が滲んでいたので、景色を見ることは早々に諦めて、抱えた大きなバスケットに頬を乗せていたせいか、いつのまにか景色が止まっていることにすら気付かなかった。
アスランの運転が上手すぎたせいもある。
「眠っちゃったか。……仕方ないな」
少しだけ苦笑まじりの呟きに我に返り、キラは慌てて顔をあげた。
「お、おきてる」
「え?」
キラのすぐ目の前に、ちょうど伸ばしてきたアスランの長い指と少し驚いた顔があった。
額を撫でてくれようとした手だろうか?
だが、キラが顔をあげると戸惑ったように握られ、アスランの顔と一緒に遠ざかってしまった。
――どうしてオデコ、なでてくれないのかな……。
さわって貰えないことが、淋しいのだとキラは初めて気付いた。
「ここ、ビューポイントだから、喜ぶかと思ったんだけど」
何事もなかったようにつぶやくアスランの人差し指が、暗いフロントガラスを「ほら」と差した。
名残惜しかったが、キラは言われるままに、じっとアスランの指の先を見た――が何もない。
「そこじゃなくて、参ったな。……この前方なんだけど、ああ、そうか」
一人で納得したアスランの声が、珍しく少しだけ笑っていた。
「ちょっと貸してみて」
戸惑うキラの膝の上のバスケットを、ひょいとアスランは取りあげた。
テキパキと動くアスランが、ひどく素っ気なく思えて、キラは自分も後部シートへ移動させられるバスケットと同じだと思った。
光の弱ったキラの瞳には、まるで闇の中に消えてしまうように映った。
「座ったままだとキラの場合、ちょっと厳しいだろうから……ちょっと待って」
自分の座席シートを後ろに下げてから、アスランはキラに覆いかぶさるように手を伸ばし、シートベルトをはずした。
一瞬後、ふっと身体が自由になったが、その自由が不安でキラはシートにしがみついた。
もしかしたら、ここで捨てられるのかもしれない。
息がかかるほど近くにいる大好きな人は、もうキラを拾ってくれないのだ。
けれど――。
「ちょっと狭いけど、おいで?」
「へ?」
優しい声で腕を引かれたときに、かぶっていたブランケットがハラリと落ちて、キラの猫耳は飛び出してしまった。
それを隠す間もなく脇の下を抱えられて、ふわりと抱き上げられると、みるみるうちに目線が高くなる。
驚いて顔をあげると、至近距離にアスランの顔があり、キラはその膝に抱き上げられていたのだ。
抱き上げられたことは何度もあるが、こんな耳元に息がかかるほど密着することは稀で。
「今度は見える?」
暗闇の中から耳元に響く声は睦言めいて、意味も分からずキラは鳥肌がたったが、いつも通りアスランは冷静で、一人で恥ずかしがったり、赤くなっている自分が、キラは恥ずかしい。
慌てて顔をあげると、その次の瞬間、フロントガラスごしの景色がキラの視界に飛び込んできた。
今まで、座高の低い上にブランケットをかぶっていたので、キラから見える視界は狭く限られていたのだ。
目にしたそれは、光の海原のようだった。
「うわぁ」
思わず声が出た。
フロントガラスの向こうに広がっていたのは、キラの初めて見る美しい夜景だった。
夥しい光が集まり、まるで呼吸しているように瞬いてる。
闇に住む、美しい生き物のようにも見えた。
「うちは、あの辺」
指をさして教えて貰ったが、光が瞬くばかりで分からない。
けれど、あの光の中のひとつに、今もシンやアレックスがいる。
それは、ひどく不思議で想像が出来ない、まるで夢のような気がした。
ほんの先ほどまで、自分もその中にいたはずなのだと思うと、キレイな光は、ひどく切なく映った。
「こうやって外を見せた事は、一度もなかったね。気にはなっていたんだけど、キラには屋敷の中ばかりで息苦しい思いをさせて悪かったと思っている」
命の恩人のアスランから謝られて、キラは返事などできなかった。
お別れを言われているのだと思ったからだ。
気付かすに夜景に心を奪われているふりをして、教えて貰った屋敷の方向を仰いでいた。
離れるのかと思うと、胸がきゅうきゅうと軋むよう。
けれど、困らせてはいけないと知っていたから、唇だけ笑おうとしていた。
幸い、背後のアスランから顔を見られることはない。

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おやゆび姫その後

今日、お風呂で髪を洗ってるとき

「アスランの髪の色ってツバメさんの色と似てるから
アスランがツバメさんもアリだなあ。

だったら親指キラは女の子になるなあ」
(,,i _ i,,)

っておもったです。

カガリの妹のキラで、セイラン家のユウナさんとあうう
(∥◖◡​◗)

できたら両方かきたいな。

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おやゆび姫

眠くて死にそう。
あんまり眠くて転がっていて
半分寝てた。本気で1時間たってた。
で、眠りながら
おやゆび姫がまわっていて

アスランが親指姫で、キラがツバメさん。トリィと仲良し㌨。
二人でキャッキャしていて、アスランがキレる。

カエルの御姫さまと結婚しなきゃで、欝なの。

そんな親指姫が頭の中で上映されていました。

ずっと昔に考えた時は、キラが親指姫で翻弄される感じだったけど
なんとなく、今は、翻弄されるのはアスランだなあって思うのです。


なんかがんばろう。

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ダブルシークレット10

何故なら、自分のことで精一杯で頭がパンクしそうだったのだ。
――意気地がないって言われた。
他の誰でもないシンの口から言い放たれた。
いつもからかわれているし、意気地のないのも本当のことだったが、考えすぎて萎縮しきっているキラの心は、崖から突き落とされたようなショックを受けていた。
――だって、みんなキラがいなくなったほうが幸せなんだもん。
分かってはいても、簡単に折り合いを付けられるほど、人生経験を積んでいない。
「キラは大丈夫だよな?」
兄のような口調で簡単にシンが言う。
頷くよりも顔が見たくて見上げると、そんな涙目のキラを見て、シンは吹き出した。
「なんだよ、その顔! 相変わらずガキだなあ」
上着の袖で涙を拭いてくれながら、安心したみたいに笑っている。
その瞳の中に宿る、揺るがない強さが眩しすぎて、キラは俯いてしまう。
シンの笑顔が淋しくて淋しくて仕方なくなるのは、お別れの前だからだ。
「いつまで拗ねてるんだよ、ガキだなあ」
呆れたような嬉しそうな声は、シンが上機嫌な証だった。
返事をしなくちゃいけなかったのに、上手く出来ない。
どうしても平気になれなかったからだ。
「さて、俺は本当にもう行きますよ。アスランさんはキラとエレカで待っておいてください」
腰を上げてそれだけ言い残すと、飛ぶように闇に消えて闇に紛れ、気付けば後方の茂みの奥にいる。
ちょうど厨房のある辺りだ。
厨房の裏口のドアが開いたままだったせいか、夕食の良い匂いが漂ってきて、余計にキラを泣かせた。
いつも作って貰っていた美味しいゴハンやお菓子とも、もうお別れしなくちゃならない。
「だいじょうぶか? シンは、ああ言っているけど無理することはないから」
アスランの言う、何が無理なのか分からない。
アスランがキラをマスターの元へ戻したくて、みんなと喧嘩をしていたのをキラは知っている。
だから、三人一致で戻すことに決まったのではないのだろうか。
アレックスもシンも、それがいいと同意したのだろう。
そうすれば、三人とも喧嘩をすることなどなくなる。
こんな風に、要らない物のように戻されるのは悲しい。
いっそのこと、心配などしないでくれたらいいのに。
「行った方がいいって、シンが言ってたから……だからヘイキ」
抱かれた腕のシャツを掴んで見上げると、少し考え込んだアスランは、ゆっくりと歩き出した。
ここへ来て、ずいぶん経つが、初めて通る通路だった。
アスランは何も喋らなかった。
そして道なりに進むと、敷地のはずれに濃いシールドの貼ってある流線形のエレカが停まっていた。
その助手席のシートにキラは降ろされた。
エレカに乗ったのは、まだ二度しかない。
そのうちの一度は、アスランに拾われたときで、意識が朦朧としていて覚えていない。
のこりは、シンに拾われる前で意識すらなかった。
あたりが暗いせいか、ひどく不安になった。
地獄へ連行する車なのかもしれない。
「嫌かもしれないけど、耳は隠したほうが無難だろうから我慢して」
アスランは、キラごと抱いていたブランケットをキラの頭に丁寧にかけて耳を覆うと、そのままそっと頬を撫でた。
「苦しくない?」
優しい眼差しと声が辛くなる。
宝石を包むように、大切に、アスランはキラに触れた。
そんなアスランに『必要とされない』ことが、悲しくてならない。
アスランは優しくて、悲しい瞳をしている。
キラでは一度も笑わせてあげる事が出来なかった。
「だいじょうぶ?」
何も言えないでいると、何度も頭を撫でられる。
せめて困らせたくなくて頷いていた顔をあげると、アスランの白い容貌が息のかかる距離にあって、キラは驚いて自分の身体をシートに押し付けた。
ちっぽけなキラを抱くように、長い腕が伸ばされる。
怯えているように見えたかもしれない。
自嘲的な唇の端が淋しげに見えて、胸が痛んだ。
キラは何か喋ろうとしたが、言葉が見つからない。
「そんなに怖がらなくても、何もしない」
溜息のような声がした。
だが、そのまま隙なくシートベルトを装着されると、もう逃れられない気がして喉が鳴った。
思い返せば、拾って貰ってから色んなことがあった。
屋敷の中は、温かくて美味しくて楽しい事ばかりだった。
お世話になった執事に挨拶をしたかったが、とても言い出せない。
静かに俯いていると、突然、エレカのフロントガラスがノックされた。
「アスランさん、これ」
暗闇の中、息を切らしたシンが助手席のドアを開けて、キラにバスケットを抱えさせた。
「しっかり持って、落とすなよ」
シンは晴れやかに微笑んだ。
バスケットからは、お菓子の甘い香りが漂ってきた。
今から行く、マスターへの、お土産なのかもしれない。
クリームとカスタードと苺の匂い。
もう食べられないと思うと、とても残念だった。
「アスランさん、帰りの時間を一応教えておいてください」
昼間、あんなに怒っていたとは思えない笑顔だった。
一瞬、助けに来てくれたのかと期待してしまった自分に気付いて、キラは唇を噛んだ。
アスランとシンが小声で何かを話している姿は、頭をくっつけんばかりに距離が近い。
――シンはアスランに必要とされていていいな。うらやましい。
黒い影が動いて、アスランがエレカの運転席へと滑りこんできた。
キラの横でコンコンと窓を叩く音と同時に電子音がし、パワーウィンドウが降りた。
「じゃあな」
シンが元気に手を振った。
その姿が遠ざかると同時に窓が閉まり、あっけなくシンは夜の闇に紛れて消えた。
あまりに急な別れだったが、スッキリしたシンの笑顔がキラの胸を締め付ける。
ここへ来る前に別れたときも、シンはあんなふうに笑っただろうか?
厄介者がいなくなって、よかったと思っただろうか。
それでも、今日までキラはシンに救われたのだ。
結局、ありがとうもサヨナラも言えなくて、キラは黙ったまま泣いていた。


----------
もう4月。
桜の季節ですね。早いなあ……。
トロトロしてばかりいないで、てきぱきこなしたいですヾ(o゚ω゚o)ノ゙

拍手

ダブルシークレット9

「アスランさん、もういらしてたんですか」
潜めた声はシンで、その声にアスランの腕が微かに震えたのをキラは感じた。
「あっちはアレックスさんが足止めする予定だけど。でも、ヘリは無理だと思う。エレカはいつもの場所に」
シンなら助けてくれると思って、もがいてアスランの腕から顔を出すと、もう外は真っ暗で屋敷から漏れた光が遠ざかる。
顔をあげたとき、ちょうどシンが目の前にいた。
シンは一瞬、怯んだ顔をしていたが、思い直したように、クシャリとキラの前髪を撫でた。
「アレ? 何で泣いてるわけ?」
何でではないと、出来るなら叫びたい。
キラの気持ちも知らず、緊迫感ものない調子で、おどけて微笑まれると余計に泣けてくる。
「シンく……」
声が詰まって上手く出なくて悔しい。
それよりも、アスランから捨てられたら、シンにもう会えない。
捨てられるようなことをした自分が、情けない。
猫耳があるときから、シンは秀でていた。
あんなふうに上手くやれない自分が、キラは悲しい。
「まあ、しょーがない。キラが悪いんだぞ? ともかくアスランさんに叱られて当然な」
押さえ込むように、ぽふぽふ頭を撫でたシンの手は温かい。
「別に俺は叱ってないぞ」
キラの頭の上から憮然としたアスランの声がしたが、怒っているように聴こえてキラはこわくて振り向けない。
「じゃあ、なんでキラが泣いてるんですか?」
昼間の剣幕が嘘のように、シンはニヤニヤしていて、からかうように何度もキラの髪をさわってくる。
確かにアスランは大きな声で怒ったりしなかった。
なのに、勝手に決め付けて可笑しそうに笑うシンがうらめしい。
キラ的には事態は深刻なのに、アスランもシンも緊張感が薄い。
キラは耳を垂れ、アスランの腕の中で唇を噛む。
「アスランさんは厳しいけど、現場ではもっと鬼だぞ。あの調子で叱られたら、キラなんか腰を抜かすだろうなあ」
昼間、怒鳴っていたシンが鬼のように思えて、潜入せずにはいられなかったキラの気持ちなど、絶対に分かってもらえそうにない。
とりあえず本当に叱られてはない――と思うと、気弱な訴えでも出してみようかと思ったが、声を立てるなと言われていたのを思い出して口を噤んだ。
黙りこんだキラの頭の上で、アスランとシンは短い言葉で何かの打ち合わせをしている。
キラなど眼中にないような、生き生きしたシンの顔がキラにはとても眩しくて、胸が痛い。
眩しくて、周りの景色もソフトフォーカスがかかってしまう。
夕方過ぎて気温が下がり、頬を撫でる風がピリピリして冷たい。
意気地なく泣いているせいだろうか。
今回珍しく、シンはキラの肩を持ってくれなかった。
シンだけは味方だと思っていたのに、今日はいつもよりもずっと余所余所しい気がした。
そういえば、ザフトの仕事から戻って来るたび、シンが遠くなっているような気がする。
考えまいとしてきた、そのこと。
遠くなるほど、シンが幸せそうに見える。
それを不満に思ってはいけないと知っていたが、目の前のその手を求めることが、シンの負担にしからなないことが悲しくてならない。
キラに出来る事は、両手を握りしめることだけだ。
動かなくなったせいか、眠っていると思われたようだ。
「おーい、起きてるか? アスランさんは疲れてんだから、あんまり迷惑かけるなよ?」
シンは俯いたキラ顎を持ち上げて視線を合わせ、無邪気に唇の端をあげて笑った。
「シン、キラが眠るなら、そっちを優先させてやってくれ」
「分かってますよ! 分かってるけど、眠ってちゃ意味ないでしょ。何のために行くんですか」
「シンが抱いてシートに乗ってくれれば、問題ないと思うが」
「冗談じゃないですよ! アレックスさんに足止めさせて、俺が付いて行ったら、今度はアッチに拗ねられますよ」
「上官の命令、でもか?」
「あー、きったねえ! っていうか、俺、本当にアンタらの間に入って、ヘンな恨み買いたくないですよ――って、あ!」
中庭の向こう側の厨房のドアが開いて明かりが漏れたのをみて、シンが叫んだ。
「俺、ちょっと貰って来ますね」
言い残して、風のように行ってしまうシンに、思わず手を伸ばしそうになって、我に返ったキラは、もう一度指を握りしめた。
「キラ?」
アスランの声が上から降りてきたが、抱かれたその腕にしがみつくことが出来なくて、身体を固くするしかない。
その固くなった身体を、ポンポンとあやされたが、どうする事も出来ない。
「気分が悪いようだから戻ろうか」
溜息のようなアスランの声がして、ゆっくりと踵を返されるのが分かった。
――捨てるの、やめるの?
小さくしゃくりあげたキラの声に気付いたのか、行こうとしていたシンが戻ってきた。
「ちょっと、アスランさん! どこ行くんですか。勝手な事しないで、ここでキラと待っていてくださいよ。何やってんですか」
「いや、やっぱり今日はやめよう。キラも疲れているし」
「は? 今さら、何勝手な事言ってるんですか。さっきまでグースカ寝てたキラが疲れてるわけないでしょうが! どんだけ過保護なんですか。っていうか……アンタはまた、ヘンなところで」
それに続く――意気地がないんだから、という葉擦れのような声無きシンの呟きがキラの耳にはハッキリと聴こえた。
それを自分の事だと、キラの頭は短絡的に処理した。
前後の脈略が無いのは、いつものことだ。

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ダブルシークレット8

初めに見えたのは、見覚えのあるベッドの天蓋。
初めてここへ来た時に見たのと同じ、眠っていたのはアスランのベッドだった。
まだ少しだけ、頭が重たい。
「気が付いた?」
静かな声がして顔をあげると、ベッドの柱にもたれて佇む、この部屋の持ち主の姿があった。
柔らかな白いシャツで腕を組んでいて、静かな眼差しで見下ろしていた。
「……えと」
前後関係が思い出せずに困ってしまったが、いつもアスランは何も教えてくれない。
こんな掴みどころのない眼差しに晒されると、居心地が悪くて、有る事ない事喋ってしまいそうになる。
プレッシャーで、胃が痛くなりそう。
本当は怒りたいのを、我慢しているのではないだろうか? 
迷惑に思っているのは、間違いないだろう。
それとも、興味がないのかもしれない。
何故なら、目の前にいるのにキレイな緑色の瞳は、いつもキラの知らないどこかを見つめている。
アレックスと同じ顔だからインパクトは薄いが、やはり違う。
二人の見分けが付かない皆が不思議なほど、キラには分かる。
この間帰って来たとき、『見分けが付かないからコツを教えてくれ』とパニクるシンに『アスランはピカピカのボンボンショコラだけど、アレックスはツヤツヤのザッハトルテっぽい』と説明したのだが、全く分かって貰えなくて、反対にキレられてしまった。
けれど本当は、もっと簡単に見分ける方法がある。
アレックスは作り笑いが上手だが、アスランは、ほとんど笑わない。
厳密にアスランが笑っている記憶がキラにはないのだ。
――楽しくないと笑えない。
アスランは、きっと楽しくないのだとキラは思う。
助けて貰ってばかりだし、優しいことも知っているが、その優しさは何故か掴みどころがなくて、ひどく心もとない。
アスランは優しいけれど、たぶんきっとひどく疲れていて、多分、隙のない見た目よりもずっと脆いのかもしれないと思ったことがある。
はらりと頬にかかる紺色の髪が、余計に顔色を悪くみせているのかもしれない。
眉間に皺が寄っていて、とても疲れているように見えてしまい、いつもキラは緊張してしまうのだ。
最近、また新たに何か困らせたり、ワルイコトをしただろうかと、毛布の下で思い巡らせかけて――コンマゼロで、その理由にヒットしてしまい、一気に目が覚めた。
――そういえば、窓から侵入したのに、どうしてベッドにいるんだろう?
「って……ぇ?」
瞬間、大きなスミレ色の瞳がピクンと見開かれた。
思わず悲鳴をあげかけた口を両手で押さえるのが精一杯。
確かアスランの部屋に忍びこんで、盗み聞きをしたのだった。
さらにそのまま眠りこんでしまってベッドを占領してしまっているのだとしたら、アスランが疲れてしまうのも納得する。
――叱られるかな……盗み聞きしたの、バレたかな。
嫌われるのが怖くて頭を抱えてみたが、いつまでもそうしていられるわけはないのは、ちゃんと知っていた。
シーツの影から盗み見たアスランからは、全く怒気は伺えなかった。
いつもと同じ、静かな、そして無欲な顔をして少し怖い。
「キラは、そこの床の上に倒れていたんだよ」
巣から落ちた小鳥を拾ったような調子で指差すと、アスランは、そのままキラの肩にポンと触れた。
軽く触れられただけなのに、ひどくビクつく自分をどうにかしたかったが、キラは何も出来ない。
「あ、あの」
とりあえず謝ろうとしたが、声が震えた。
「色々あると思うけど、あんまり無理しないように」
もう一度ポンポンと、あやすように叩かれて、逃げる事も避ける事も出来ずにキラは固まっていた。
ただ触れられた場所が温かくて、とても大切にしてくれている触れ方だと分かった。
こんな風に触れてくれるのに、アスランは遠い場所にいる。
拾って貰って置いてくれただけで感謝しているのに、それ以上を望む自分が、キラは嫌になる。
アスランは優しい。
みんな優しい。
でも、キラはひとりぼっちだ。
ギクシャクと身体を起こし、ベッドの上でペタンコ座りになると、純血の猫耳はひどく小さくて怖いほど。
この小さな存在に、プラントのコロニー数基分の価値があると言う。
そんな事など何も知らないキラは、華奢な身体で項垂れながら小さく息を吐き出した。
――アスラン、怒ってないのかな。
誰にも聞き取れないくらい小さな声で呟いてみたが、まだ顔をあげる勇気が出ない。
――でも、キラがここにいない方が、アスランは嬉しいんでしょ?
問えない言葉が頭をかすめるたびに、泣きそうになってしまう。
キラにはよく分からない。
本当の事は何も、誰も直接キラには伝えてくれないからだ。
そのまま、アスランは黙りこんだままで、キラは俯いたままだ。
「窓の外に踏み台が積んであったとアデスが言っていたけど、キラがしたんだよね?」
静かな問いに、キラはますます深く項垂れた。
「とりあえず、窓からはやめてくれ。怪我をされてはかなわないから」
「……ごめんなさい」
「謝らなくていい、かなりシンの声が響いていたらしいから……キラにも心配させたんだろうね。こっちの不注意で悪かった」 
困ったように目を伏せるアスランに申し訳なくて、キラはプルプルと首を横に振った。
アスランは何も悪くない――それはキラにも分かっていた。
けれど、キラにここにいて欲しくない。
それが、どうしようもないことなのも、ちゃんと分かっていた。
「それで……」
アスランは、一度口ごもった。
「それで、率直に聞くけど――キラは俺たちの話をどこまで聞いただろうか」
「え? ……あ」
あまりに直球すぎて思わず顔を上げてしまったキラは、慌てて俯いた。
頭が重くなって何も考えられなくなるほど、たくさん聴いてしまった。
それはみんな、キラが知らない方が良かった事なのかもしれない。
「怒らないから言ってごらん?」
問いかける感情のないエメラルドの瞳は、とてもキレイだけれど怖い。
「あ、あの……アスランが怒ってるとこまで……かな?」
どう答えていいか分からずに、キラはへらりと笑ってみせたが、怪訝な顔をされてビクリと固まった。
「俺は、あのとき怒った記憶がないんだけど」
「え? え? じゃ、じゃあ……シンくんが、えと、シンくんは怒ってたから……うん」
キラは必死に言い訳を探した。
緊張のせいか胸が音を立てて鳴って、顔が赤くなってしまい泣きたい。
「あは。……間違っちゃったのかな」
モゴモゴと口ごもり、すでに涙目になってしまった顔を隠したくて、焦って両手で猫耳を握ってしまった。
キラの猫耳。
本当は、これがついているから。
だから、みんなを困らせる。
みんなと同じになれない。
俯いたまま猫耳を握ると、ポツリとシーツに涙がこぼれて落ちた。
「……キラ? どうしたんだ」
慌てた声で無理やり顔を上げさせられそうになって、キラは身体を固くして俯いたが無駄だった。
力や体格が違い過ぎるのだ。
無理やりに仰向かされて、涙が飛び散った。
それなのに、また溢れた涙でアスランの顔が歪んで見えなかった。
叱られていないのに、どうして泣けてくるのか分からない。
緊張しすぎているのかもしれない。
「だいじょうぶ、ちょっと、なんか変なの」
笑おうとした次の瞬間、ぎゅうと抱きしめられて痛いほど胸に押し付けられた。
頭があげられない。
そして、そのままパサリと布に包まれて、目の前が真っ暗になった。
「しばらくの間じっとして、声を立てないでくれ」
簡潔なアスランの声とともにベッドのマットが遠くなり、ふわりと抱き上げられたのが分かった。
見えないそのまま、キラは前へ前へと進んでいく。
大きなアスランのストライドは、迷う事なく床を蹴って、空気が変わるのが分かった。
屋敷の突き当たりまで行き、外へ出たのだ。
――捨てられるのかもしれない。
キラは、抱き上げられた腕の中で身体を丸めて泣いていた。




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ここ数日、なんだかPCがヤバイ><
なんか、重くなって上手く動かないの。

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クロネコメール

そろそろかなあと思っていたのですが
こちらも、完全に出荷票が変わってしまいました。

荷物の問い合わせ番号と出荷票が別々の仕様になってしまうので
今までのように、発送のとき
問い合わせ番号のお知らせが出来なくなりそうな予感がします。
バラバラにされちゃったら、わかんないの。
それを、コンビニの店員さんにお願いするのも酷なので言えないです。

今まで、郵便事故はなかったように思うのですが
あったものがなくなるのは、いちいち調べたこともないけど不安です。

様式が変わってくれたらいいのになあ。

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